Aゼミとは?
【Aゼミ】とは,もっとダンスが上手くなりたい人のための,大学のゼミのようなレッスンです。
通常のレッスンのように,インストラクターが一方的に生徒に教えるだけではありません。
目標設定を管理し,達成するためにサポートしたり,通常のレッスンでは教えきれないレベルまで落とし込んだ内容をお伝えします。
具体的な目標としては,コンテストやバトルに入賞できるレベルのダンサーを育てたいと考えています。
Aゼミの3つのポイント
01 ダンスを教えるだけじゃない
通常のダンスレッスンは,振付を教えたり,基本を教えたり,内容は先生によって違いがありますが「ダンスの技術」を教えることがメインです。
もちろんこれは大事なことなのですが,もっと大事なことがあります。
それは「学んだことをどうやって使うのか」とか「習得するためにはどのように練習するべきか」など,いわば「練習の管理」ができることが重要なのです。
数学のテストのために国語の勉強をしている人がいたら「それおかしいよ」って気付くことができるのですが,ダンスの練習に関しては,このような矛盾がある練習をしている人が少なくありません。
Aゼミでは,紙に書き出す作業をする「ワーク」を中心に,目標設定や日々の練習の管理の方法を各自が習得するサポートをします。
02 ゲーミフィケーションを利用した課題(クエスト)設定
ゲームをしたことがある人はわかると思いますが,ゲームは自然と夢中になります。
それはゲームというものに,人を夢中にさせる仕組みがあるからです。
心理学の世界では,人生をゲーム化するための「ゲーミフィケーション」の研究も行われています。
Aゼミではこのゲーミフィケーションのテクニックを使い,課題(クエストと呼ばれます)をクリアしていく方法をとります。
03 自分の力で上手くなるという責任を持つ
ゼミとは大学などで行われる「教える側と教えられる側との双方向コミュニケーションのもとで進められる授業形式」のことを言います。
私も大学のときは,自分の研究テーマについて毎週レジュメを作り,ゼミ内で発表し,教授や先輩,同期のゼミ生から意見をもらい修正していきました。
このときに教授は「こういう方針でいけば?」というような提案はしてくれますが「これをしなさい」ということは言ってくれませんでした。
Aゼミの基本的にはこの方針でいきます。
この話をすると,ほとんどの人はとまどいます。
今までの学校教育やレッスンでも,与えられたことをこなすことに終始している生徒が多く,それで評価されてきました。
しかしそれでは,自分で上手くなったのではなく「先生が上手くしてくれた」にすぎません。
それでもある程度は上手くなる人はいるのですが,コンテストやバトルで優勝し,個人の名前が売れるような存在感のあるダンサーにはなれません。
「相手がしたいと思っていることをできるように助ける」というエルンフォの指導方針をさらに強化し,まずは本人が目的と熱意を持って行動できるかを重視します。
Aゼミのカリキュラム
通常のレッスンではなかなか時間がとれない,だけどいいダンサーになるためには絶対に必要な内容をAゼミではやっていきます。
①インプロビゼーション(即興)の練習
Aゼミで1番時間をかけるのは「インプロビゼーション(即興)」の練習だと思います。
ルーティン(振付)で踊ることだけがダンスではありません。
むしろストリートダンスの本質は即興にある,と言っても過言ではありません。
ルーティンを踊るだけだと,上手くなるという目的にたいして非常に効率が悪い方法しかとれなくなり,時間がかかります。
そのためにまずは即興に慣れ親しむこと,それから上手く踊れるように段階的に練習していきます。
②テーマを決めたルーティン
通常のレッスンはルーティンを学ぶことで進んでいきますが,ただ覚えるだけではあまり力になりません。
なぜこのルーティンを踊るのか,このルーティンを踊るとどんな力が身に付くのか,というテーマがないといい練習とは言えません。
そのつど身につけて欲しい能力が身に付くような短めのルーティンをしっかりと反復することで,それが他のルーティンにも,インプロビゼーションにも活き,上手くなることを加速させます。
③体力トレーニング
Aゼミでは,筋トレ,心肺機能を向上させるトレーニング,柔軟にも力を入れます。
ダンスの技術が水だとすれば,身体はコップ。
コップが大きければ大きいほど,水はたくさん入ります。
逆に言えば,コップが小さければいくら技術を身につけようとしてもあふれてしまうだけです。
ダンサーとしての身体を目指すことで,ダンスの技術もどんどん入り,舞台の上で映える華のあるダンサーになることができます。
④紙に書き出すワーク
私が好きな本「ロングゲーム」の中でこんな一節があります。
あなたのまわりにも,才能のある人はいるだろう。彼らはプロにも引けを取らないのに,なぜかまったく芽が出ない。成功にはそれ以外の何かが必要だ。ステップか,テクニックか,戦略があるに決まっている。それなのに,実際に成功した人たちは,その秘密をまったく教えてくれない。それでは誰も学べないではないか。成功への道のりは依然として謎に包まれている。私はそれが本当に気に入らない。
ドリー・クラーク「ロングゲーム」ディスカヴァー・トゥエンティワン 2022年
上手くなるダンサーにも「秘密」があります。
しかし,ほとんどの上手くなるダンサーはその秘密にも気付いていません。
自然と,本能的に,その秘密を使っています。
私はこういう人たちのことを「天才」と呼ぶのだと思います。
そして,ほとんどの人が天才ではありません。
ではどうするのかというと,天才がやっている秘密を研究し,それを体系化して実践すればいいのです。
幸い,トップアスリートたちを対象とした研究は進んでおり,天才たちの秘密は暴かれています。
Aゼミではその天才たちの秘密を後天的に身につけるためのワークをやっていきます。
スケジュール
日時:毎週金曜20:45〜22:00
料金システム
1回:1,700円(チケット利用可・フリーパス利用不可)
※フリーパスの方は月謝4,000円を追加していただければその月のAゼミはすべて受講できます(フリーパス料金と同時にお支払いください)。
受講資格
- このページに書いてある内容が理解できる人(小学校高学年以上を想定)
- anのレッスンに日常的に通っている人
原則,誰でも受講できます
これまでのAゼミは「コンテストやバトル(以下,コンペティション)に積極的に参加できる人」のみが参加できましたが,7月からはコンペティションに興味がない方でも参加できます。
コンペティションに興味がある方は,クエストと呼ばれる課題をクリアしていき,クリア状況により等級が与えられます。
等級には4級から1級まであり,等級に応じてコンペティションチームの編成をしていきます。
またクエストに参加した方には個別で「カルテ」も作成します。
コンペティションで結果を出したい受講生へ
コンペティションで優勝し,個人の名前が売れるような存在感のあるダンサーになるためのルートは2つあります。
- ゆっくりなるか
- 無理矢理なるか
個人的には1番をおすすめしているのですが,学生のうちに優勝したいというのであれば,2番の道をいかざるを得ません。
私はこれを「急な坂道を力技で駆け登るような生活」と表現しています。
私の今までの経験からして,学生のうちにコンペティションで結果を出すタイプの人は「急な坂道を力技で駆け登るような生活」をできた人だったと思います。
それには様々な運の要因が関わってきます。
- 指導者の厳しい指導でも耐えられるフィジカルとメンタルとストレス耐性
- ほぼ毎日レッスンに通う,または練習をしている
- 部活や他の習い事をやっていない
- 保護者の方の献身的な協力体制(時間面,金銭面,健康面)とダンスへの理解(本人がやりたいことをやらせてくれる)
言っておきますが,これらのことができないからと言って恥じることはありません。
こんな生活ほとんどの人ができません。
15年間教えてきて,このような生活ができた人は10人いませんでした。
「この子ダンス上手くなるな」と感じる子はもっとたくさんいたのですが,やはり上記のような生活をできなかったので上手くなることがありませんでした。
かなり厳しいことを言っているかもしれませんが,学生であるうちに結果を出すために真剣に練習できるのは5年くらいです(受験とか考えると)。
多くの人と同じような生活をしていたら5年では結果が出るような実力はつきません。
コンペティションに勝つという目的は,ただ一生懸命練習するだけでは達成できません。
上記のような,いわば学生アスリートのような生活ができるかということなのです。
「頑張ればできるよ」と軽々しいことは言いたくありません。
いきなりこの生活をしろとは言いませんが,視野に入れて,ある程度の覚悟をもって臨んでください。
保護者の方へ
いつもお子様のダンスの支援をしていただきありがとうございます。
Aゼミに参加するということは,スタジオでのレッスンや発表会という枠を超えて活動していきます。
そのぶん,今までよりも時間的なコストだったり金銭面でのコストがかかってきます。
おそらく今まで以上に保護者の方の協力が必要になってくると思います。
以上の点をご理解いただき,お子様とよく話をしてみてください。
インストラクター
an(アン)/山田章広
鳥取ダンススクールエルンフォ代表兼ヘッドインストラクター
1983年,鳥取県生まれ。
2001年,鳥取大学教育地域科学部入学。ダンスサークルに所属しダンスを始める。大学在学中,ショー出演,コンテスト,バトルイベント出場,イベントのオーガナイズ,振り付けや指導を積極的に行う。
2002年10月,第17回国民文化祭・とっとり2002「バレエ・モダンダンスフェスティバル」「ジャズダンスフェスティバル〜WA!輪!和!〜」出演。
2003年8月,「高知よさこい祭り」に「鳥取県よさこい踊り子隊」の踊り子として出演。10月,鳥取県総合芸術文化祭,創作舞踊ファンタジー「IWAKAGAMI」出演。
2004年8月,「高知よさこい祭り」に「鳥取県よさこい踊り子隊」のスタッフとして参加。
2007年5月,ロサンゼルスへ渡米。3ヶ月間,トニーティーのもとでファンク,ジャズ,ダンス理論を学ぶ。10月,「鳥取ダンススクールエルンフォ」オープン。12月,書籍「DVD付きインターロックエクササイズ(日本文芸社)」にダンサーとして出演。
2012年1月,自前のスタジオを開設。
2013年4月,Jリーグチーム「ガイナーレ鳥取」のPRガール「ガイナーレガール」のダンスユニットをプロデュース。
2017年5月,とりアートダンスプロジェクト公演「磨公部主(マクベス)」振付。
よくある質問
Aゼミに参加すれば絶対にチームを組めるわけではありません。
評価や普段受けているレッスンのジャンル,年齢などいろんな要因が関わってくるものです。
そのため,1人でも踊れる力や1人でもイベントに参加できる力が必要になってきます。
メインはそこを鍛えるカリキュラムです。
終わりに
上手くなる人となりにくい人の決定的な違いは「経験への開放性」だと言えます。
もうちょっとわかりやすく言うと「好奇心」であり,受け身ではない態度のことを言います。
旧来からの学校教育の影響からか,受け身な人はとても多く「とりあえず学校に行っておけばいい」とか「この会社に入っておけば将来安泰だ」のような考えの人はいまだに多いように感じます。
私は「Aゼミを受ければコンペティションに勝てるようになる」と思って欲しくありません。
そうではなく「コンペティションに勝ちたいからAゼミでの学びを利用する」となって欲しいのです。
受け身で従順な態度を求めるのではなく,積極的な関与を求めています。
そして,こちらには心からダンスが好きだという方に応える用意はできています。
もちろん最初からそこまで高いモチベーションを持っている人は少ないでしょう。
今は小さな種でもいいです。
種から芽を出すだけのために利用してくれてもOKです。
少しでも気になる方は受講してみてください。
自分が主人公の漫画を読みたいか。
漫画の主人公はいつだって読者を魅了してくれます。
Aゼミで学べる知識と技術を使い,自分の人生の主人公になってください。
私は皆さん一人ひとりが主人公になることを待ち望んでいます。