考察

生まれつきの才能はあるのか?

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僕の仕事は端的に言うと「他人の能力を上げる」ことなのですが,こういう仕事をしていると「才能」とか「センス」という言葉をよく聞きます。

これらの言葉を肯定的に使う人もいれば,否定的に使う人もいます。

僕はこの言葉を聞くたび「この人はどういう意味で使ってるんだろ」と考えてしまい,なんとも歯切れの悪い会話になってしまいます。

どうもお互いに定義がずれているから話がかみ合わないというか。

 

なので,今回は「才能」を「生まれつきの能力」と定義した場合,それは本当にあるのか?というあたりの話をしたいと思います。

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生まれつきの才能ってあるの?

これ,結論から言うと「ある」ようなんですよね。

最近の様々な研究データがそう示しています。

 

ただ「生まれつきのダンスの才能」という大ざっぱなものはないと思っています。

ダンスに必要な能力が生まれつき高いという場合があるだけです。

例えば,生まれつき心肺機能が強かったり,生まれつき筋肉がつきやすかったり,生まれつきストレスに強かったり。

 

ダンス初めてだけど振り覚えが早い人もいますよね。

そういう人もまず考えられるのは,それまでの運動経験が豊富で,運動に関するネットワークが強いということ。

もしそうでなければ生まれつき動きを覚えることが早いという才能なのかもしれません。

生まれつきの才能があるからといって成功するわけではない

まあ生まれつきの才能というものは存在するのですが,だからと言ってそれですべて安心だというわけでもありません。

 

例えば,生まれつき振り覚えが早いという人がいたとします。

こういう子は確かに初期の伸びが早いです。

周りの子が進んでいる2倍くらいのスピードで伸びる場合もあります。

そのせいで,周りからは「才能がある」とか「センスがある」とか言われ,その気になったりします。

 

ただそういう子は意外とコンテストだったりバトルで勝てない場合が多いです。

当然「振りを覚えるのが早い」という才能があったとしても,それがコンペティションで成果を出すことに直結するわけではありません。

振りを覚えるのが早い人はそのぶん早く「上手くなるための」練習に移行することができるというアドバンテージがあるだけです。

その上手くなるための練習をしなかったらダンスが上手くなるということはなく,よって結果を出すということもなくなります。

でも周りからは「才能がある」ともてはやされた結果,努力というものができなくなっているんですね(硬直マインドセット)。

結果,ダンスをやめてしまいます。

 

ダンスに関係ある能力の才能があっても,ダンスで成功できるのかと言われるとそうではないということがわかると思います。

能力が高い人がプロになるわけではない

多くの人は「能力が高ければプロになれる」と考えているようですが,大きな間違いです。

 

サッカーがめちゃくちゃ上手くても,プロになれなかった人がいます。

めちゃくちゃおもしろくても,お笑いタレントになれてない人がいます。

ダンスがめちゃくちゃ上手い人でも,ダンス1本だけではご飯が食べれない人も大勢います。

 

残念ながら,能力というのは,そのままその後の人生を保証するものではないのです。

 

もちろんまったく実力が必要ないというわけではありません。

ただ実力が成功にどれくらい影響しているのかというと,それはかなり低い(20%いかない)のです。

 

では何がプロの道を決めるのかというと

・運
・時流
・(社内)政治

などの自分の力ではどうにもならないことによる場合が多いのです。

 

例えばバックダンサーになりたい場合,ほとんどの場合はプロジェクトの担当の知り合いとかから声がかかります。

オーディションがある場合もあるけど,オーディションをする必要がなければ,知り合いで上手い人のほうが仕事はやりやすいわけです。

実力は必要ですが,そういう人とのパイプを作っておくとか,そういうことのほうが仕事には繋がっていくということです。

じゃあなんのために練習するの?

「じゃあ今まで一生懸命練習してきたのは何だったの?」と思った方もいると思います。

違うんです。

練習は必要なんですよ。

なんのために練習が必要なのかというと「昨日の自分を超えるため」に必要なんですよ。

ここを履き違えると,いろんな不幸が待っています。

 

この「昨日の自分を超える」ということに徹して練習をできてる人なんておそらくほとんどいません。

頭のどこかで「あの人よりも上手くなりたい」とか「コンテストで優勝するために練習する」とか考えています。

それも短期的には良いでしょう。

ただそのまま成長していくとかわいそうなことになります。

 

理想は「昨日の自分を超えるために練習を続けていたら,いつのまにか周りの人を超えていた」が理想。

そしてもしプロになるならそういう感じでプロになったほうが良いんですよ。

プロになるために練習するというめちゃくちゃストレスがかかることに耐えられる人は残念ながら多くないのです。

(それこそ生まれつきの才能です)

 

大丈夫です。

世の中きちんと練習している人なんて多くないです。

だから昨日を自分を超えるために練習しているだけでも,ほとんどの人をごぼう抜きできますから。

日本一にはなれないかもしれないけど,日本の上位20%くらいだったらなれますよ。

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ABOUT ME
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鳥取ダンススクールエルンフォ代表
鳥取市でストリートダンスを教えています。
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