【アイビー・リー・メソッド】勉強向けにアレンジした方法を徹底解説
- いざ勉強しようと思っても,何から手をつければいいのかわからない
- 迷っているうちに時間が過ぎ,集中力もなくなる
- やるべき勉強にすぐに取り掛かれるようになりたい
いざ勉強しようと思っても迷ってしまい,結局始められないことはよくあることです。
人間は「具体的に」やることがわかってないと行動できない生き物だからです。
この記事では,勉強を始めるときに迷いなく始められるようになるテクニック「アイビー・リー・メソッド」を徹底的に解説します。
この記事を読めば,勉強を始める前に迷って時間と集中力を無駄にすることはなくなるでしょう。
アイビー・リー・メソッドで5千万円稼いだ
アイビー・リー・メソッドはアイビー・リーが考案したテクニックです。
アイビー・リーは20世紀前半に活動していた経営コンサルタントで「PRの父」と呼ばれるようになった人物です。
アイビー・リーは,アメリカ最大の鉄鋼会社「ベツレヘム・スチール」の社長チャールズ・シュワブにアイビー・リー・メソッドを教えました。
アイビー・リー・メソッドを愚直に実践したベツレヘム社は業績が改善し,シュワブ社長はアイビー・リーに25,000ドル,現在の金額で約5千万のコンサル料を支払ったと言われています。
アイビー・リー・メソッドのやり方
アイビー・リー・メソッドのやり方は以下のとおりです。
- 夜,紙に「明日やること」を6つメモする
- その6つの項目を重要だと思う順に番号を振る
- 翌日,メモの順番に沿って勉強を進める
やり方は簡単ですね。
できるだけ具体的に書く
明日やることを6つ書き出すのですが,このときできるだけ具体的に書き出してください。
例えば「数学をやる」ではなく「教科書10〜20Pの問題をやる」というふうに書きます。
書き出す内容が曖昧であればあるほど行動に迷いが生じます。
迷いが生じるということは,時間と集中力が削られるということです。
迷いようがないくらい具体的に書き出してください。
6つできなくても気にしない
このときに気をつけることが「6つできなくても気にしない」ということです。
完璧主義の人は「6つできなかった。自分はなんてダメなんだ。」と思いがちですが,気にしないようにしましょう。
できなかったことは次の日にすればいいのです。
紙にメモするほうがオススメ
メモの方法は好きにしてもらったいいのですが,スマホは使わないほうがいいと思います。
アイビー・リー・メソッドのアプリなんかもありますが,必要ないです。
スマホにメモをすると,メモしたらアプリを閉じてしまいますよね。
そうなるとメモが隠れた状態になります。
紙のメモなら物理的に存在するので無視しづらいのです。
皆さんがどこで勉強するかにもよりますが,例えば夜に紙に書き出したら,勉強机の真ん中にそのまま置いておくのです。
そして帰ってきて勉強机に座ると嫌でもそのメモが目に入ります。
これが勉強に取りかかるスピードを上げてくれます。
ですのでアイビー・リー・メソッドでは紙のメモを使うことをオススメします。
アイビー・リー・メソッドのメリット
ではアイビー・リー・メソッドのメリットをいくつかご紹介します。
シングルタスクになる
やることを書き出し,それ以外はやらないという方法なので,自然とシングルタスクになります。
(やることに集中するというよりも,やらないことを決めて無視するという意識のほうが効果は高そう)
これはとても大きいメリットです。
このメリットを最大限に活かすため,集中力を奪うものを周りに置かないようにしましょう。
迷いがなくなる
仮にやることを書き出してなかったらどうなるでしょうか?
勉強に取りかかるたびに「何しようかな」と考える必要があります。
この迷いの時間が集中力を奪う原因になります。
達成感がありモチベーションがあがる
やることを書き出し,完了したものは線で消していきます。
これが達成感を生み,モチベーションがあがります。
さらにそのメモを捨てずに貯めておくと「私こんなにたくさん勉強したんだ」と勉強が可視化されます。
自分がやってきたことが可視化できるというのはやる気でますよ。
アイビー・リー・メソッドのデメリット
アイビー・リー・メソッドのデメリットも紹介しておきます。
6つ選ぶのは多い
オリジナルのアイビー・リー・メソッドは「明日やるべきことを6つ書き出す」とありますが,正直6つは多いです。
もともとは仕事で使われているテクニックなので,6つくらいはやることはあるでしょうが,勉強に使うとなると6つは多いですね。
「6つできなくても気にしない」とありますが,あまりにも毎回できなかったらさすがにモチベーションが下がる可能性もあります。
なので6という数字にこだわりすぎず,最初はとりあえず3つから始めてみてください。
もし6つどうしてもやりたいというのであれば,できるだけ細かくわけて6つにしてみてください。
時間配分をしていない
アイビー・リー・メソッドには時間配分を決める作業がありません。
なので,最初に始めた勉強が時間がかかってしまい,残りができなくなるということもあるでしょう。
これもまったく気にする必要はないのですが,始めのうちは気になるかもしれません。
気になるのであればメモに時間配分も書いておくといいでしょう。
あとから解説しますが,タイムボクシングというテクニックもオススメです。
アイビー・リー・メソッドと同時に使ったほうがいいテクニック
アイビー・リー・メソッド単体でもいいのですが,同時に使うと相乗効果が狙えるテクニックもご紹介します。
ブレインダンプ
ブレインダンプとは「脳内ある情報をすべて書き出す」というテクニックです。
検索練習について解説した記事でも紹介しました。
今回紹介するブレインダンプは検索練習ではなく「やらなければいけない勉強をすべて書き出しておく」というテクニックです。
例えば「英単語を2,000個覚える」「テストの直しをする」「赤本を注文する」など,短期から長期まで,とにかくやらなければいけないと感じたことをすべて書き出します。
これけっこう時間がかかるので覚悟してください。
休みの日に丸一日かけてやるくらいしないと全部出てこないと思います。
ただこれを1回やっておくと「自分はこれだけの勉強をしないといけないのか」という総量がわかり,不安がなくなります。
そのやらなければいけない全ての中からアイビー・リー・メソッドで毎日3〜6個ずつ消化していくというイメージです。
2ミニッツ・スターター
2ミニッツ・スターターは「とりあえず2分だけやってみよう」というテクニックです。
どうしてもやる気が出ないときも当然ありますが,その日に最初にやるべき勉強を2分だけ手をつけてみてください。
2分できたらそのまま勢いに乗って最後までできてしまうはずです。
それでも無理だったらその日は諦めましょう。
2ミニッツ・スターターに関してはコチラの記事で詳しく解説しています。
パーキングロット(バッチ処理)
パーキングロット(バッチ処理)とは,やっている勉強とは関係ないことを頼まれたり,思い浮かんがら,ひとまずメモしておき,あとからまとめてやってしまうというテクニックです。
例えば勉強中に「先輩にLINE返さないと」と思ってもそこですぐに返信してはいけません。
「先輩にLINE」とメモだけしておいて,すぐに勉強に戻ってください。
すぐに返信してしまうと,そこで集中力が途切れ,戻るまで20分もかかります。
すぐに返信しなくてもずっと頭に「返さないと…返さないと…」と残っていたら集中できません。
メモすることでいったんLINEのことを頭から追い出し,勉強を再開することができます(このときも集中力は奪われますが,スマホを触るよりははるかにマシです)。
パブリック・コミットメント
パブリック・コミットメントは,勉強をするということ,勉強する内容などを他人に伝えておくことで,プライドや責任感,羞恥心を利用し,勉強しなくてはいけない状況を作り出すテクニックです。
パブリック・コミットメントをやることで目標達成率は1.3〜2倍になると言われています。
アイビー・リー・メソッドで書き出したメモを親に見せて「明日はこれやるから」と宣言してもいいし,メモをスマホで撮影してSNSにアップするのもアリです。
アイビー・リー・メソッドに似たその他のテクニック
おまけですが,アイビー・リー・メソッドに似たその他にテクニックも軽く紹介しておきます。
To-Doリスト
To-Doリスト(やることリスト)はほとんどの社会人は使っているかと思います。
やらなければいけない仕事をメモしていくだけですね。
しかしTo-Doリストを使っている人でうまく実行できている人は少ないです。
その理由は「いつやるのか」「いつまでにやるのか」「そこまでの時間配分は」などを考えていないからです。
人間は具体的じゃないことは行動できないと言われています。
To-Doリストは「やらないといけないことを忘れない」くらいの機能は果たしてくれますが,それらを実行するまでの役割は果たしてくれません。
そのTo-DOリストに「何を」「どの順番で」という具体的な情報をもたせたのがアイビー・リー・メソッドです。
ファイブ・ゴール
ファイブ・ゴールは,投資の神様と言われているウォーレン・バフェットが推奨する方法です。
やり方は簡単。
その日にやるべきことトップ5を選んだらそれ以外は捨てて,トップ5を素直に実行するというものです。
ほぼアイビー・リー・メソッドと同じですね。
タイムボクシング
タイムボクシングもほぼアイビー・リー・メソッドと同じですが,決定的に違うのは時間配分があるということです。
実はタイムボクシングは数ある生産性を上げるテクニックの中でもベスト3には入るテクニックです。
タイムボクシングを使って40時間働くと,何も考えずに60時間以上の仕事をしたのと同じくらいの生産性になると言っている人もいるくらいです。
タイムボクシングのやり方は以下のとおりです。
- 週の頭にその週にやらなければいけないことをリストアップする
- 優先順位を決める
- 1日のスケジュールに当てはめていく(ボックス化)
- 決めた通りに勉強する
タイムボクシングの「ボクシング」は箱のことです。
学生の方にはおなじみの「時間割」のことなんですよ。
具体的にはこんな感じ。
これはとある日の僕のスケジュールですが,カレンダーのアプリに時間割のようにやることを置いていくという感じです。
タイムボクシングは,アイビー・リー・メソッドを週単位にして「いつ」「どのくらいやるのか」という具体的な情報を付け加えた感じになります。
学生の皆さんは,平日にタイムボクシングを使うのは難しいかも知れませんが,土日とかはこれでやってみてもいいかもしれません。
あとは勉強だけでなく,ダンスの予定とか遊びの予定もあらかじめボックス化しておくといいでしょう。
まとめ
アイビー・リー・メソッドについて,これでもかってくらい解説しました。
いろいろなテクニックも書きましたが,まずはシンプルなアイビー・リー・メソッドをやってみてください。
やってみて自分には合わないところも出てくると思うので,そこは自分なりにアレンジをしてみるといいでしょう。
僕がやるなら以下のような感じでやります。
- まずブレインダンプで勉強しなければいけないことをすべて書き出す
- アイビー・リー・メソッドをやる(1日3つまで)
- パーキングロットは同時にやる
- 土日はタイムボクシングを使ってみる(勉強の予定だけでなく遊びの予定も)
参考になれば幸いです。
参考文献
- 鈴木祐「YOUR TIME」河出書房新社 2022年
- メンタリストDaiGo「自分を操る超集中力」かんき出版 2016年
- デボラ・ザック「SINGLE TASK 一点集中術」ダイヤモンド社 2017年
- 谷澤潤「ブレインダンプ―必ず成果が出る驚異の思考法」東洋経済新報社 2010年