ダンスのセンスがあるとはどういうことか?
以前「生まれつきの才能はあるのか?」という記事で,才能というものに関して考察しました。
才能とセットでよく使われるのが「センス」という言葉。
今回はこのセンスについて考えていきたいと思います。
センスがあるとはどういうことか?
「センスがある」とはどういうことか。
この答えがどこかに書いてあったわけではありません。
結局こういうのは自分で定義して使っていくしかないわけです。
僕がずっと考えていて,いろんな本を読んでたどりついたのは「具体と抽象を行ったり来たりできる人」がセンスがある人なんだと思います。
もうちょっと簡単に言うと「1を聞いたら10を知ろうすることができる人」でしょうか。
例えばファッションのセンスがある人。
僕の定義に基づくと,ファッションセンスがある人は,1つの具体的なコーディネートをたくさん経験していき,自分に似合う服や似合わない服を理解していき「自分に似合う服」という抽象概念まで発展させていった人だと思うのです。
大量の具体的なコーディネートを経験していき,そこから自分に似合うという抽象的なファッション概念を獲得していく。
才能というのが先天的なのに対し,センスは後天的だと言うことです。
抽象概念を扱える人はIQが高い
実際に,抽象概念を扱える人はIQが高いと言われていますし,近代文明が入ってきてない部族には,抽象的な概念がそもそも存在しないと言われています。
例えば,お皿とボールという2つのものがあって「共通点は何?」という抽象度を上げるような質問をすると(答えは円形だということ)「わからない」らしいです。
「お皿はお皿だし,ボールはボールだろ」とその1つの物について,それらはそれ以上でも以下でもないという認識しかないわけです。
これを聞いてバカにする人もいるかもしれませんが,程度の差こそあれ,具体的な経験からそれを抽象的に考えることができる人は少ないです。
センスがある人になるにはまず大量の具体的な知識や経験を得ること
センスがある人は,とにかく大量で多様な知識や経験に触れ,それらを抽象化しやすい状況に自分を置いています。
逆にセンスがない人は,好奇心が低く,今までにした経験以上のことをしないので,非常に狭い具体の世界にしか身を置かず,それらを抽象化しようという発想ににもなりません。
子どもは生きている時間が短いので,センスを獲得しにくく,大人も自ら主体的に世の中に関わっていかない人はセンスが磨かれにくいということです。
ダンスのセンスがある人とは
ダンスを教えていて「この子センスあるな」って思うのは,今までの教えた具体的な内容を,いったん自分でかみ砕いて抽象化し,他の具体的な場面で適用している人です。
「しっかりヒザを上げて」という具体的な指導をしたあとで,他のレッスンで他のステップをするときにもしっかりと意識してヒザが上がってる人はセンスがあると言って良いと思います。
質問の仕方にもセンスが表れます。
「ここのステップはどうですか」「ここの角度はどうですか」というきわめて具体的で限定的な質問ばかりする人は,それを他に転用するという発想がないため,シーンが変わるたびに似たような質問をしてくるわけです。
質問してくるだけマシという考えもあるでしょうが,ある意味「思考停止」しているわけで,自分のダンスに責任を持ててない状態なんですよね。
上手くなりづらい人はそういうところがあるんですよね。
まとめ
「センスがある」と「センスがない」だったらおそらくみんなが「あるほうが良い」と思うはず。
ですが,センスは先天的な才能ではなく,今までの小さな積み重ねを無駄にしようとしない日々の行動が大事なんですよね。
決して受け身で思考停止状態で獲得できるものではないのです。
具体と抽象を行き来するなんて,意識してないとできるものではありません。
最初のステップとして,今まで自分が学んだことと新しく学ぶことはどのように関連していくのかということを考えてみると良いと思います。