やる気スイッチを押してもエンジンがないと意味がない
「やる気スイッチ」という言葉は,おそらく「スクールIE」っていう学習塾のCMで一気に広まった気がします。
「生徒のやる気スイッチを押してやる気を引き出してやりたい」と指導者なら1度は思ったことがあると思います。
また世の中的にも「生徒のやる気を引き出すことができる先生が良い先生だ」という風潮もありますよね。
たしかに科学的にやる気を出す方法,短期的にも,長期的にもあることはあるのですが,結局,本人が「本当にそれをやりたいのか」という気持ちが絶対に必要不可欠です。
「本当にそれがやりたい」というエンジンは生徒本人の中にしかなく,指導者がやる気スイッチを押せたとしても,そもそもエンジンがなかったら意味がないわけです。
とくにこれから指導者になろうとしている人は,ここは割り切らないと自分を苦しめることになります。
「どんなにやる気がない子でも私の力でなんとかする」という気持ちは素晴らしいですが,絶対に上手くいきませんし,指導者の心も壊れる可能性があります。
生徒本人にとっても,やる気がないのに熱血指導されてもうざいだけです。
それならやる気がある人をしっかりと育てるという方向に舵を切ったほうが,長期的に見てメリットがあると思います。
こういうことを言うと「冷たい」と言われるんですが,頑張って,頑張って,頑張り抜いたあとにどうにもならなかったという経験は,力にもなりますが,心を壊す方向にも働きます。
それを助けてくれる人は誰もいません。
そこでつぶれたら,他のあなたのことを慕ってくれている生徒が困るわけです。
あなたを慕ってくれている人にダンスを教えるということは,替わりがきかない尊い仕事なのです。
その人たちのためにも,世の中の風潮に惑わされず,「無理なものは無理」という冷静な判断ができるほうが,僕は素晴らしいと思いますよ。